グリチルリチン酸ジカリウムとヘパリン類似物質を
組み合わせて使うことで、肌あれしにくい肌へ

紫外線や乾燥、ボディソープなどの刺激は、私たちの肌に負担をかけることがあります。これにより炎症が起きたり、バリア機能が低下したりした結果、肌があれやすくなってしまいます。
この度、当社綜合研究所は、肌あれを防ぐ効果があるとされるグリチルリチン酸ジカリウム(以下、GK2)とヘパリン類似物質(以下、HP)を併用することで、単独での使用よりも効果的であることを明らかにしました。これにより、肌を正常な状態に保つサポートができることが期待されます。

常に外部刺激にさらされている肌のリスク

私たちの肌は、日常生活の中でさまざまな外部からの刺激を受けています。例えば、太陽光に含まれている紫外線は、光老化と呼ばれる肌の加齢現象を引き起こします。また、普段使うシャンプーやボディソープに含まれる一部の成分、例えば、界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム(以下、SLS)などは、肌に刺激を与えることがあります。これらの刺激が原因で、肌があれやすくなることが知られています。

肌あれを防ぐ2つの有効成分の併用による効果

一つ目の成分は、GK2です。これは、マメ科の甘草の根に含まれる成分を粗原料としてつくられる成分です。GK2には炎症を抑えたりアレルギー反応を和らげたり、皮膚刺激を緩和する作用などがあり、医薬品の有効成分としても使われています。

二つ目の成分は、HPです。HPは高い保湿力があり、肌に塗ると潤いを保持しやすくなります。これにより、肌の乾燥による炎症を抑えることができます。この成分も医薬品の有効成分として幅広く使われています。

これら肌あれを防ぐ2つの成分を一緒に活用されているケースはありますが、一緒に使うことでどのような効果を得られるかの根拠が少なかったため、ヒトの皮膚の表皮角化細胞を使って実験を行い調べました。具体的には、肌あれに関与する①炎症の抑制および②バリア機能維持について、評価しました。また、今回の試験ではシャンプーなどに含まれる界面活性剤SLSを刺激として使用しました。

①炎症の抑制における2成分の併用効果

まずは、網羅的な炎症に対する抑制効果を確認するために、4つの炎症関連因子(刺激初期応答:IL-1αIL-1β、刺激後期応答:IL-8、熱刺激応答:HSPA1A)について評価しました。あらかじめ細胞の生存率に影響のないSLS濃度範囲を確認し、その範囲内で4因子各々の遺伝子発現が最も高くなったSLS濃度においてGK2とHPの併用効果を調べました。その結果、HP単独でも上記の炎症関連因子の抑制効果があり、これにGK2を加えると、よりその効果が高まることが明らかになりました。
4つの炎症関連因子(刺激初期応答:IL-1α、IL-1β、刺激後期応答:IL-8、熱刺激応答:HSPA1A)の評価グラフ 4つの炎症関連因子(刺激初期応答:IL-1α、IL-1β、刺激後期応答:IL-8、熱刺激応答:HSPA1A)の評価グラフ

②バリア機能維持における2成分の併用効果

次に、バリア機能維持に対する効果を確認するため、バリア機能関連因子であるClaudin-1遺伝子について評価しました。その際、細胞の生存率に影響のないSLS濃度範囲においてGK2とHPの併用効果を調べました。その結果、HP単独でもClaudin-1遺伝子の発現増加効果があり、これにGK2を加えると、よりその効果が高まることが明らかになりました。

バリア機能関連因子であるClaudin-1遺伝子の評価グラフ バリア機能関連因子であるClaudin-1遺伝子の評価グラフ

さらに、Claudin-1および、同じくバリア機能維持を担うClaudin-4, Occludin, ZO-1の細胞間におけるたんぱく質発現が、GK2とHPの単独使用に比べ、併用により増加することが明らかとなりました。これらの細胞間におけるたんぱく質発現が増えるということはバリア機能強化につながると思われます。

GK2とHPの併用によりバリア機能に関与するタンパク質の細胞間での発現が増強された GK2とHPの併用によりバリア機能に関与するタンパク質の細胞間での発現が増強された
今回の研究により、GK2とHPの併用効果として、次の2点が明らかになりました。
1つ目は、炎症関連因子IL-1αIL-1βIL-8HSPA1Aの抑制効果です。2つ目は、バリア機能関連因子Claudin-1、Claudin-4、Occludin、ZO-1の細胞間におけるたんぱく質発現の増加効果であり、これにより、バリア機能の向上が期待できます。例えるなら細胞間をつなぐジッパーが強化されて、有害物質の侵入や、内部からの水分などの蒸散を防ぐような状態です。

肌あれしやすい肌と理想の肌の肌断面図 今回の研究成果として、GK2とHPの組み合わせにより、外部刺激による肌あれを防ぐスキンケア化粧品を開発することができました。
当社はこれからもお客様のお悩みに寄り添った研究開発に取り組んでいきます。

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