ヒアルロン酸、トレハロース、細胞間脂質類似成分の組み合わせによる、透明さと優れた保湿機能を両立したスキンケア化粧品

皮膚の最も外側となる角層は本来、「水分保持機能」と「水分蒸散をコントロールするバリア機能」を備え、2つの機能によりうるおいのある肌が保たれます。
その機能をサポートする化粧水では、バリア機能をサポートする油性成分を混ぜると透明性が失われます。みずみずしいイメージを持つよう透明性を保ちながら、同時にバリア機能も高めたい。当社綜合研究所は、相反する要件を満たすため、新たな成分の組み合わせを検討した結果、透明性を保ちつつ保湿機能を発揮する液状化粧料の開発に成功しました。

透明性とうるおい、相反する条件を両立させるには

みずみずしくうるおいを保つ肌は、水分と油分の両方をバランスよくしっかり含む。これが理想的な肌の状態であり、角層には水分を保持する機能と、水分を閉じ込めるバリア機能が備わっています。
角層内に保たれる水分は、皮膚の内部と外部から供給される水分と、皮膚から蒸散していく水分のバランスで決まります。そのため空気中の水分が減ると、水分蒸散量が増え、外部からの水分供給が減るためバランスが崩れます。

これまで肌のうるおいを保つために、ヒアルロン酸とトレハロースの組み合わせが水分保持機能に優れ、化粧水に活用されてきました。
ヒアルロン酸は1gで約6リットルもの水分を抱え込む作用のある成分です。トレハロースも保水性を有し、乾燥状態での安定性が高く、極度の乾燥状態のストレス環境に置かれた植物が正常に戻るために働く特異な作用を有している成分です。

より保湿性を高めるため細胞間脂質に似た成分を加える

ヒアルロン酸とトレハロースを含む化粧水は、角層内外の水分の保持に優れていますが、皮膚内に水分を閉じ込めるには不十分です。それは本来の肌に備わっている水分の蒸散を抑制する成分が含まれていないためです。

そこで細胞間脂質に似て、保湿機能やバリア機能の修復などの効能で知られる化粧品成分であるラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)に注目しました。これを角層に補充すれば、保湿力の向上を期待できます。

細胞間脂質類似成分は油剤であり、ヒアルロン酸やトレハロースとは異なる性質を持つ。これら3成分を組み合わせることで保湿力のさらなる向上が見込めると予想される。 細胞間脂質類似成分は油剤であり、ヒアルロン酸やトレハロースとは異なる性質を持つ。これら3成分を組み合わせることで保湿力のさらなる向上が見込めると予想される。
実際にヒアルロン酸、トレハロース、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を組み合わせると、どのような効果を得られるのか。in vitro試験(※)を行って閉塞性と抱水性を確認し、in vivo試験により角層水分量の変化を確認しました。

※in vitro試験とは、試験管や培養器などの中で行う試験。in vivo試験は、ヒトや動物などの生体内で行う試験。

in vitroでの試験では、閉塞性試験と抱水性試験のいずれにおいても、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)に備わる高い能力が明らかになりました。さらに、3成分(ヒアルロン酸、トレハロース、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル))を組み合わせると、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)単独より、特に閉塞性が高まる結果となりました。

in vivoでの試験では、ヒアルロン酸とトレハロースの組み合わせの場合、塗布直後には水分を保持するものの、時間経過とともに角層水分量は低下する結果となりました。
これに対して、3成分(ヒアルロン酸、トレハロース、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル))を組み合わせると、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の抱水性により、水分保持量そのものが増え、さらに一定時間が経過しても、水分閉塞効果により角層の総合的な保湿力が高まることがわかりました。

3成分が保湿効果に及ぼす影響のイメージ図 3成分が保湿効果に及ぼす影響のイメージ図

透明なのに、うるおいも実現する化粧水開発に成功

ヒアルロン酸、トレハロース、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)はそれぞれ、以前から汎用的な成分として知られていましたが、これら3成分を組み合わせた結果、総合的な保湿力が高まることがわかりました。

ポイントは、抱水性のカギとなるラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の存在であり、脂質成分、すなわち油を含んでいることにあります。一方、ヒアルロン酸とトレハロースは、どちらも保湿効果があり、水分を抱え込む性質を持っています。つまり、この3成分は本来なら相容れない性質を持つ、いわゆる「水と油」であり、混ぜると基本的には白く濁ります。

保湿力が高まっても、透明性が失われると「みずみずしいイメージ」「余計なものが入っていないイメージ」が失われてしまいます。
そこで、この3成分を組み合わせの研究を通じ、透明性を保ちつつ、水のような感触を失わない比率を見つけ出しました。
さらにこの技術を応用し、脂質成分を含んでも水のように透明な化粧水の開発に成功し、約2年間の研究開発を経て特許を取得しました。

今回の研究開発はみずみずしさと、透明な外観でありながらもしっかりした保湿力を兼ね備えた化粧水の開発に成功したことで「余計なものが入っていない化粧水」を好まれるお客様のニーズに応えることができました。
今後もお客様の声に耳を傾けて、さまざまな研究開発に取り組んでいきます。

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